1. パーキンソン病とは
ふるえ、動作緩慢、小刻み歩行などを主な症状とする病気です。
2. この病気の原因はわかっているのですか
脳内の中脳という場所の黒質という部分の神経細胞の数が減ることが原因です。ここの神経細胞は、ドパミンという神経伝達物質を作ります。ドパミンはこの細胞が伸ばした突起を通して線条体という部分に運ばれ、突起の先端に貯蔵されて必要に応じて利用されます。したがってパーキンソン病では線条体のドパミンが減少します。
黒質のドパミンを作る細胞がなぜ減るのかはまだよくわかっていませんが、細胞の中にレビー小体というタンパク質が溜まることと関係があると考えられています。レビー小体が溜まる原因として、いくつかの仮説が提唱されていますが、真相はまだ判っていません。
3. この病気ではどのような症状がおきますか
四大症状は(1)安静時のふるえ、(2)筋強剛(筋固縮)、(3)動作緩慢、(4)姿勢反射障害です。このほか(5)同時に二つの動作をする能力が低下し、(6)自由な速さのリズムが作れなくなります。
パーキンソン病に特徴的なのは力を抜いてリラックスしたときのふるえです。ただし力を入れたときにふるえることもあります。筋強剛とは関節を曲げ伸ばしするときに強い抵抗を感じることです。このため動作がぎこちなくなります。
パーキンソン病では動作が遅いのみならず、動きそのものが少なくなります。患者さんはまばたきが少なく、表情ひとつ変えず、寝返りもしません。動けば遅く、スローモーションを見ているようです。 姿勢反射とは体が傾いたときに足を出して姿勢を立て直すことです。これが障害されると転びやすくなります。 同時に二つの動作をする能力が低下すると、お盆にのせたお茶をこぼさないよう気を配ると足が出なくなり、クラッチを踏みながらギア操作をするマニュアル車の運転が難しくなります。
自由な速さのリズムが作れず、全てのリズムが1秒間に4~5回のふるえのリズムに合うようになります。その結果1分間に240~300歩で歩こうとするので足がすくんで前に進まなくなります。 パーキンソン病は左右どちらか片側から発症します。2~3年すると反対側にも症状が現れますが、長年経過しても左右差を認めるのが普通です。初発症状はふるえが最も多く、次いで動作のぎこちなさが多いのですが、痛みで発症することもあります。五十肩だと思って接骨院にかかっていたら、ふるえが出てきてパーキンソン病だと判ったといった具合です。しかし最初から姿勢反射障害や足のすくみで発症することはありません。
左右差を認めない症例や、姿勢反射障害や足のすくみで発症する症例は、パーキンソン症状を呈するパーキンソン病以外の病気を疑う必要があります。このような病気は「パーキンソン症候群」としてパーキンソン病と区別されます。具体的には(1)薬剤性パーキンソニズム、(2)脳血管性パーキンソニズム、(3)進行性核上性麻痺、(4)多系統萎縮症のパーキンソン型、(5)大脳皮質基底核変性症、(6)特発性正常圧水頭症などが含まれます。