心臓機能が極端に低下した場合に使用される「補助人工心臓(VAD)」は、生命維持に欠かせない医療機器です。
このような医療処置を受けている方が障害年金を申請するには、特有の手続きと配慮が必要になります。
ここでは、申請の基本をご紹介します。
目次
障害年金とは
「障害年金」とは、公的な年金の1つで、病気や事故が原因で障害を負った方へ、国から年金が給付される制度です。
障害者のための特別な手当と勘違いされている人もいますが、実は老齢年金と同じ公的年金です。
障害年金はきちんと保険料を納めている方の権利ですので、
障害年金を受け取っていないということは、65歳になっても年金を受け取っていないようなものです。
障害年金を受け取れる方は必ず申請することをお勧めいたします。
障害年金の基礎知識についてはこちら
障害年金でもらえる金額についてはこちら
障害年金を申請するための3つの条件
初診日要件・・・初診日(初めて現在の病気で受診した日)を書類で証明できること
保険料納付要件・・・一定額の保険料を納めていること
※20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は不要です(20歳前障害年金)
障害認定日要件・・・初診日から1年6か月経過していること
※ただし、装着日が初診日から1年6か月経過より前にある場合は、装着日が障害認定日が
障害認定日となります。
等級の目安と人工心臓の場合の位置付け
人工心臓を装着している場合、その性質上、障害年金の1級に該当するのが原則です。
これは、人工心臓に依存して心機能を補っているという状態が、医学的・生活的に高度な障害と認定されるためです。
しかし、これは永久認定ではなく、「更新型」の認定となるケースが一般的です。
実際、年金制度の認定基準には以下のような一文が記されています。
「1〜2年程度経過観察したうえで症状が安定しているときは、臨床症状・検査成績・
一般状態区分を勘案し等級を再認定する。」
この規定に基づき、装着後の一定期間を経て身体状況が安定し、日常生活での支障が軽減していると
判断された場合、障害等級が引き下げられる可能性があるのです。
そのため、更新の際には医師と連携し、現在の状態や生活上の不自由さを正確に診断書に
反映してもらうことが非常に重要です。
手続き上の注意点と対策
診断書は内容が要:心機能、日常生活への影響、デバイスの管理状況(電源管理や清潔保持)などを
正確に反映させることが大切です。
生活状況の記述も重要:病歴・就労状況等申立書には、仕事ができない理由や移動、入浴、
食事といった日常生活の負担について詳しく書きましょう。
初診日証明の確保:古いカルテが必要になることもあるため、受診歴が長い場合は早めに確認しておくのが得策です。
よくある質問(Q&A)
Q1. 補助人工心臓を装着した直後でも申請できますか?
A1. はい、症状が固定しておらずとも、装着が行われた事実が明確であれば、申請できます。
ただし、初診日や保険料納付要件などは必ず確認してください。
Q2. 心臓移植を受けた後も障害年金を受給し続けられますか?
A2. 原則として、心臓移植後に体調が安定した場合は再認定が行われ、等級が変更または支給停止と
なることがあります。更新時の診断書の内容が非常に重要です。
Q3. 初診日がかなり昔ですが、障害年金は申請できますか?
A3. 初診日が古くても、初診日が証明できれば申請可能です。
初診日の医療機関にカルテなどの証拠が残っていればスムーズに進みます。
まとめ
人工心臓の装着は、単なる手術ではなく日常生活全体に影響を及ぼす重大な医療処置です。
障害年金の申請においては、医師の診断書だけでなく、自分の生活のリアルな状況を伝えることも重要です。
書類作成が難しいと感じたら、専門家のサポートを受けて、確実な申請を目指しましょう。
専門家への相談のメリット
社労士に依頼するメリット
①労力
体調が悪い方、働いている方にとっては障害年金の申請はなかなか大変な作業です。
社労士に依頼することで治療に専念できます。
②スピード
自分で申請すると半年ほど申請にかかってしまう場合もあります。
プロなら約3カ月で申請が可能です。
受給できるタイミングがその分早くなります。
➂受給可能性
障害年金の申請にはいくつかハードルがあり、本来受給できる方が不支給になってしまうことも…
プロならそのハードルを乗り越えることもできます。


