脊椎後弯症は、背骨（脊椎）が通常より過度に後ろへ湾曲してしまう状態を指します。この湾曲によって姿勢が大きく崩れ、
日常動作や生活の質に支障が生じることがあります。原因や症状、そして障害年金との関係について、以下に整理しました。
目次
背中が丸まる原因とタイプ
脊椎後弯症には、原因や発症時期によってさまざまなタイプがあります。例えば：
先天性：胎児期の椎骨の形成異常によって、生まれたときから背骨が湾曲している場合。
若年期の疾患（例：Scheuermann病）など、成長過程で椎体の前後の成長にズレが生じるもの。
外傷性：転倒や事故による圧迫骨折などで椎体が潰れ、結果として後弯が形成されるもの — 特に骨粗しょう症や高齢者で
注意が必要です。
加齢性・生活習慣によるもの：姿勢の悪さ、筋力の低下、長時間の前屈作業などが続くことで、徐々に背骨が変形するケース。
このように、原因は様々であり、患者さんごとに経過や対処法が異なります。
脊椎後弯症がもたらす症状と生活への影響
軽度では自覚症状が少ないこともありますが、進行するにつれて次のような影響が出ることがあります：
背中や腰の慢性的な痛み。筋肉や骨の負担が原因で、長く続くことがあります。
脊椎の変形や後弯に伴う神経の圧迫 — 下肢のしびれ、筋力低下、歩行困難など。
胸郭の変形による呼吸への影響。背骨の湾曲がひどくなると、肺や胸部のスペースが減り、息苦しさや呼吸のしにくさを
感じることがあります。
内臓圧迫による消化器症状 — 胃のもたれ、食欲不振、便秘などが起こる場合があります。
外見の変化や姿勢の悪化により、心理的なストレスや社会生活への制約が増えることもあり、生活の質（QOL）の
低下につながることがあります。
こうした症状や制限により、日常生活や就労に支障が出ることもあります。
脊椎後弯症と障害年金 — 対象となる条件とは？
脊椎後弯症が重度で日常生活に大きな制限をきたす場合には、障害年金の対象となる可能性があります。
ただし、病名だけではなく、「どの程度の障害があるか」を客観的な基準で示す必要があります。
障害年金の審査においては、「脊柱の他動可動域が正常値の2分の1以下に制限されているかどうか」が重要な判断基準と
なります。この可動域の測定は整形外科で行われるのが一般的です。また、神経の障害によるしびれや麻痺、歩行困難、
日常生活動作の制限、就労への影響なども審査の対象になります。
実際には、圧迫骨折が原因で発症した腰椎の後弯や、神経を圧迫する変形などにより、障害年金が認定されるケースも
見られます。等級としては1級から3級までありますが、後弯症の場合は2級または3級が認定されやすい傾向があります。
障害年金を申請するための準備とポイント
脊椎後弯症で障害年金の申請を考える場合、以下のような準備と対応が重要です：
初診日の証明：最初に診断や治療を受けた医療機関と日付を、診療明細書・カルテ・紹介状などで確認・保存しておきます。
診断書の取得：医師に、背骨の変形の状態、可動域の制限、日常生活や就労への影響、神経症状の有無などを詳しく記述
してもらいます。
画像検査データ：レントゲン、MRIなどの画像所見で背骨の変形や圧迫、骨折の有無を証明できるようにします。
生活や就労状況の記録：どの動作が困難か、歩行・立ち座り・日常動作の制限、就労の制約・休職歴など、実態をできるだけ
詳細に記録します。
専門家への相談も視野に：申請に慣れている社会保険労務士などに相談することで、書類の不備や手続きのミスを
防ぎやすくなります。
なぜ脊椎後弯症で障害年金が認められることがあるのか
脊椎後弯症は、背骨の構造的な変形（器質的変化）によって、姿勢・動作・神経機能に影響を与え、日常生活や就労に
深刻な制限をもたらす可能性があります。これは、障害年金の制度目的である「障害によって生活や働く能力に制限が
ある人への支援」に該当するためです。
とくに、背骨の可動域が極端に制限されていたり、神経症状や歩行制限などがある場合には、制度の対象として
認定されやすい傾向があります。
まとめ — 脊椎後弯症では、正しい理解と準備で支援を活用する
脊椎後弯症は、見た目の変形だけでなく、痛み・神経症状・運動制限・呼吸・内臓・精神面など、生活のあらゆる側面に影響を与える可能性があります。これらが日常生活や就労に支障をきたすほどであれば、障害年金の申請対象となり得ます。
ただし、「病名だけ」では十分ではなく、可動域の測定、画像所見、日常生活・就労状況の記録など、複数の客観的証拠を
そろえたうえで申請することが重要です。必要に応じて専門家に相談することで、より実態に即した申請を目指すことが
できます。
背骨の変形や痛みでお悩みの方は、自分の状況を整理し、支援を受けるための第一歩を踏み出してみてください。
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