障害等級の認定方法
病気が複数ある場合、それぞれの障害が障害等級に該当するかを審査します。
障害年金では、①複数の障害を総合的に評価して、1つの障害等級を決定する場合と、
②複数の障害がある場合に、それぞれの障害を個別に評価した上で、
総合的に判断して1つの障害等級を決定する場合があります。
①加重認定とは
加重認定とは複数の障害がある場合に、それぞれの障害を総合的に評価して、障害等級を決定する方法です。
単独の障害では等級に該当しない場合でも、複数の障害を総合的に判断することで、
年金の支給対象となる場合があります。それぞれの障害に関する診断書が必要となります。
加重認定が適用されるケース
・複数の障害が身体に存在する場合
例:視覚障害と聴覚障害の両方がある場合や、肢体の障害と内臓疾患がある場合など
・身体障害と精神疾患が併存する場合
例:身体障害(例えば四肢麻痺)と精神疾患(うつ病や統合失調症)がある場合など
加重認定の具体例
例1:視覚障害と聴覚障害
両眼の視力が0.1以下で等級に該当しない場合でも、加えて両耳の聴力が低下している場合、
両者を加重して高い等級と認定される可能性があります。
例2:内臓疾患と肢体障害
心臓疾患で労働に支障がある状態に加え、脳梗塞の後遺症で軽度の肢体麻痺がある場合、
全体として日常生活や労働が大きく制限される場合には加重認定が行われる可能性があります。
例3:精神疾患と知的障害
統合失調症と軽度の知的障害を持つ場合、それぞれの障害が単独では等級に該当しなくても、
総合的に判断して障害等級が認定されることがあります。
②併合認定とは
併合認定とは複数の障害がある場合に、それぞれの障害を個別に評価をして、その評価を基に
総合的に判断して1つの障害等級を決定する方法です。
併合認定は2つ以上の障害があり、それぞれが異なる部位や機能に影響を
及ぼしている場合に適用される仕組みです。
併合認定が適用されるケース
・異なる部位に複数の障害がある場合
例:視覚障害と聴覚障害、肢体の障害と内臓疾患
・1つの障害では等級に該当しないが、複数の障害がある場合
・初診日が異なる場合
それぞれの障害の初診日が異なっていても、併合認定が適用されます。
・同一部位の複数の障害が総合的に影響する場合
例:脳卒中の後遺症で、両手両足に麻痺があり、さらに構音障害(言葉がはっきりしない)がある場合。
併合認定の具体例
例1:視覚障害と聴覚障害
視覚障害が2級、聴覚障害が3級の場合、併合認定により1級として認定される可能性があります。
例2:肢体障害と内臓疾患
左半身麻痺が3級、腎不全で人工透析が必要な場合(2級)。併合認定により、
総合的に2級または1級として認定される可能性があります。
例3:精神疾患と身体障害
うつ病(3級)と腰痛による肢体障害(4級)がある場合、総合的に3級または2級と認定される可能性があります。
併合認定と加重認定の主な違い
項目 | 併合認定 | 加重認定 |
---|---|---|
対象者 | 初めて障害年金を申請する人 | すでに障害年金を受給している人 |
適用のタイミング | 初回申請時 | 障害年金受給後に別の障害が発生した場合 |
評価方法 | 複数の障害を個別に評価し、総合的に等級を決定 | 現在の障害等級に新たな障害を加味して再評価 |
初診日 | 各障害ごとに初診日を証明する必要がある | 新たな障害の初診日も考慮される |
等級の決定基準 | 各障害が日常生活や労働能力に与える影響を総合評価 | 既存の等級に新たな障害の影響を加味して評価 |