障害年金を申請するうえで、最も重要な書類の一つが医師が作成する診断書です。この診断書は、病名だけでなく「あなたの生活や仕事にどれだけ支障が出ているか」を証明するためのものであり、審査結果を大きく左右します。

初めて申請する方にとっては、「いつ・どうやって医師に診断書を頼めばいいのか」「どんな準備が必要なのか」が不安になることも多いでしょう。この記事では、診断書を医師に依頼するタイミングと伝え方、そして準備すべきポイントを解説します。

年金用の診断書は通常のものとは異なります

障害年金用の診断書には、病気・障害の種類によって専用の様式が定められています。たとえば、精神疾患用は「様式120号の4」、聴覚障害用には「様式120号の3」などがあります。

まずは自分の病名や障害の内容に合った様式番号を、最寄りの年金事務所や専門窓口で確認しましょう。様式が判明していれば、医師にお願いする際にもスムーズです。

診察のどのタイミングで頼めばいいか？

診断書の依頼は、普段の通院・診察時でも問題ありません。診察の終わりに、一言「障害年金の申請を考えていて、

診断書をお願いしたいのですが」と伝えるのが自然です。

その際、「年金事務所で様式〇〇と案内されました」と具体的に伝えると、医師側も理解しやすく、協力を得やすくなります。

医師に症状を正しく伝えるために、自分でも準備をしよう

診断書の作成では、単に「病名」や「治療内容」だけでなく、「日常生活にどれほど支障が出ているか」が重要な判断材料となります。医師はあなたの生活全体を把握しているわけではないため、正確な診断書を作成してもらうには、あなた自身からの具体的な情報提供が欠かせません。

事前準備として、「普段どのようなことに困っているか」や「仕事を続けられなかった理由」などを紙にまとめておくと良いでしょう。たとえば、「外出がほとんどできない」「食事の準備が困難」「人と話すのが怖い」「就職しても長続きせず何度も退職した」といった状況を、具体的に記録しておくことで、医師もあなたの状態をより的確に診断できます。言葉でうまく説明できない場合は、短いメモでも十分に役立ちます。

診断書の費用・日数には余裕を持って依頼を

診断書が完成するまでの期間は、病院によって異なります。早いところで数日で準備できるところもあれば、1か月以上かかる場合もあります。依頼する前に、完成までの目安を確認しておくと安心です。

また、診断書は保険適用外（自費扱い）であることが一般的で、5,000円〜10,000円程度が相場と言われています。

病院の窓口で費用も事前に確認しましょう。

診断書が完成したら、内容確認を忘れずに

診断書が完成したら、必ず内容を確認することが重要です。そのまま提出してしまうと、記載漏れや誤りがあっても気づかず、審査に影響を及ぼす可能性があります。特に、初診日・通院歴・日常生活での支障の有無など、重要な項目に不備がないかをしっかりチェックしましょう。

もし自分では判断が難しい場合は、診断書のコピーを取って、年金事務所や社会保険労務士に内容を確認してもらうと安心です。「医師が書いたから問題ない」と過信せず、自らの目でも確認する習慣をつけることが、受給成功への第一歩となります。

通院をやめてしまうと、診断書を書いてもらえないことも

診断書は、基本的に現在も通院している医師に依頼するのが原則です。過去に診療を受けていたとしても、現在通院していない場合は、医師が現在の状態を正確に把握できず、診断書の作成を断られることがあります。

特に障害年金の「更新」手続きでは、継続的な通院歴が重要になります。自己判断で治療を終了し、通院をやめてしまうと、

いざというときに診断書を発行してもらえず、年金の支給が止まるリスクもあります。たとえ症状が落ち着いている場合でも、数か月に一度は定期的に通院を続けておくことが望ましいと言えるでしょう。

医師によって書き方に差が出る？専門家に相談を

医師の中には、障害年金の診断書作成に不慣れな方もおり、その場合、形式だけが整った簡易な内容になってしまったり、

実際の生活上の困難が正確に記載されないケースもあります。

こうした場合は、別の医師に作成を依頼することを検討したり、社会保険労務士などの専門家と連携して、必要に応じた補足資料を整えるといった対策が有効です。重要なのは、あなたの障害による影響や生活上の支障が、書類の中で正しく・具体的に表現されることです。

まとめ：診断書の依頼は“準備と伝え方”がカギ

障害年金の申請は、単に診断書を提出すれば受給できるという簡単なものではありません。重要なのは、制度の認定基準に合致した情報が、書類に正確かつ具体的に記載されていることです。そのためには、医師との信頼関係を築き、自分の症状や日常生活での困難を丁寧に伝えることが欠かせません。

初めての申請には不安がつきものですが、診断書の依頼は障害年金を受け取るための第一歩です。しっかりと準備を重ねていけば、制度は確実にあなたの支えとなります。焦らずに一つひとつ進めていきましょう。そして、必要に応じて社会保険労務士など専門家の力も借りながら、あなたの「生きづらさ」をきちんと制度に伝えることが大切です。診断書は、その思いを届けるための重要な手段なのです。

障害年金とは

障害年金とは、公的な年金制度のひとつです。病気や事故で障害を負った方に、国から年金が支給されます。

障害者手当と誤解されがちですが、実は老齢年金と同じ公的年金です。

そのため、障害年金を受け取れる方は必ず申請することをお勧めいたします。

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